研究概要 |
学校数学において使われている教科書に記載れている「命題」とその「証明」は,数学の専門書と同じように言語で記述-「言語表現」-されているところから,現場の教師達は,もっぱら,この記述内容を如何に効率よく伝達し,理解させるか,その方法を研究することをもって,学習指導法研究の主たる目標と考えて来た傾向がある. 言語表現された命題や証明には,必ず,その言語表現の「対象」となる"もの"が存在する.本研究が目指すように,子ども達に自己活動として,命題や証明を作りあげさせていくためには,次の(1)(2)がどうしても必要である. (1)まず,言語表現の対象となる"もの"を構成させる学習活動の原理を提示すること. (2)(1)の原理に基づいて,すべての子ども達が確信・信念を持って実行できる学習活動の展開形式を確立すること. 本年度の最大の成果は,中学校2年生の「中点連結定理」を題材にして,上記の(1)(2)を踏まえた幾何の学習指導原理を確立することが出来たことである.その概要は,数学教育学会紀要-2001年3月発行-に掲載が決定している. しかし,如何に新しい学習指導法が開発されようと,学習成果の評価の仕方,特にテスト方法の開発がそれに伴わなければ,教育現場の実態は何も変わらないのが現実である. 本年度は,上記の学習指導原理に基づく"つくり上げていく数学"に対応するテスト方法の確立にも注目すべき成果をあげることが出来た.その成果の発表は,カリフォルニア大学のDr.Carterらの協力を得て,2000年8月千葉幕張で開催された世界数学教育会議(ICME9)において,上記の「学習指導原理」と共に新しい「テスト方法」として発表することが出来た.
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