研究概要 |
本年度は習熟度別(最下位の)クラスにおける一次関数の授業の研究・実践を展開した. "遅れがちな子"がわかるまで説明していると授業が進まず,"進んでいる子"に合わせて授業を進めていくと"遅れがちな子"がわからない.・・・"遅れがちな子"と"進んでいる子"の一方が他方の学習の妨げになる‥‥だから,両者を分離すれば両方が満足できるような授業が出来るであろう‥‥、これが習熟度別クフス編成の基本的な考え方であろう. 学習内容のレベルダウンや,基礎・基本の繰り返しによって"遅れがちな子"のクラスに対応しようとしている.現実には,それが生徒達に"劣等感"を抱かせ,学習意欲を極端に低下させる要因となっている.しかも,父兄たちは"入試に不利になるので学習進度を遅らせたら困る"という注文を付けている.そのために現場の教師は自分たちが行ってきた授業の原理的な転換を求められているのである. こうした現場のニーズに応えるべく,一次関数の授業に関する研究・開発を正規の授業時間帯で試みた.そして,習熟度の差が「障害」にならない"触覚"に基づく思考活動をベースにした一次関数の展開原理の開発に成功した.また,そのよう授業には次のような特性のあることが明らかになった. (1)"触覚"に基づく思考活動では,習熟度の差が全く障害にならないので,そのような学習活動を取り入れることによって,習熟度に差があってもそれが互いに学習の妨げにならないようにできる. (2)生徒達一人一人が自分本来の思考が出来るので生徒たちが他人のことを気にしないようになり,"劣等感"がいつのまにか消えていく.
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