研究概要 |
1.「定義が明示されていない数学用語と生徒の理解に関する研究」という題名で研究会を開いた。将来数学教育職を目指す学生(教職課程履修生),大学院生,現在教職に就いている卒業生及び大学で数学の教鞭を執っている卒業生を相手に講演をした。数学教育関係者の「数学教育における日本語表現」への関心と認識を高めることが目的であった。 2.数学教育で使われている文(数学文)は,新聞・雑誌・小説類の文と同じく「現代口語文」である。文明開化期,翻訳を母体に草創された「近代口語文」と比較すればかなりこなれてきているが,数学文では「翻訳調」がまだ色濃く残っている。研究代表者はこれを,前研究代表者,森正雄氏が日本語文法で言う「陳述」の欠如と特徴づけたのとほとんど同じ意味の「用語の解説」の欠如と考え,講演の中心的話題とした。「用語の解説」と教育効果との関係を,生徒の理解の仕方と関連づけて明らかにすることが本研究の着眼点である。数学教育の表現に「用語の解説」をいかに盛り込むか。研究分担者の間で議論を煮詰め,有効と思われる文型をいくつかに絞り込むことができた。 3.これら文型が教育効果(生徒の理解の向上)にどのように反映するかを調査すべく,具体的な方法の検討(調査用紙の設計・調査対象の選定)をおこなった。
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