研究概要 |
本研究の3年間の研究目的は,「総合的な学習の時間」を支える情報活用の実践力育成のためのカリキュラム開発と試行である。第2年次である今年度は,試行的なカリキュラム案を開発し,そのねらいの達成やカリキュラムの評価を行うために,次の3校でカリキュラム案の試行を行い,それを分析し,実践事例の研究を行った。 1.大津市立平野小学校(滋賀県) 試行的な情報教育年間指導計画を立て,小学校1年生〜6年生の各発達段階に応じたIT学習を実施するとともに,6年生の総合的な学習の時間で,「WE LOVE 平野」プロジェクトを実施し,総合的な学習の時間を支える情報活用の実践力の育成を図った。 2.野洲町立祇王小学校(滋賀県) 4年生の総合的な学習の時間で,「野洲・未来・夢プラン」を実施し,総合的な学習の時間の中で情報活用の場面や情報手段の活用を意図的・計画的に埋め込み,児童の情報活用能力や課題解決能力の育成を図った。 3.大津市立粟津中学校(滋賀県) 電子新聞(Web新聞)づくりに取り組ませながら,情報活用の実践力の素地となるコンピュータやネットワークの活用リテラシーを育成するとともに,総合的な学習の時間を支える情報活用能力の育成を図った。 以上の実践事例研究より,総合的な学習の時間の中に意図的・計画的に情報活用場面を埋め込み,情報活用の実践力を総合的な学習の時間の中で並行して育成していく内在タイプのカリキュラムと,IT学習等で集中的に情報活用の実践力育成に取り組み,それとは別の時間で総合的な学習の活動を行う外在タイプの2つのカリキュラムの各々の特徴と問題点とが明確となった。内在タイプは児童・生徒の主体的な学習を促進するが,学習者間での到達度の差が多きく,外在タイプは学習者間での到達度の差は大きくなかったが,情報活用の実践力を発揮する学習場面を児童・生徒が把握しにくい傾向があることが明確となった。最終年度に向けて,カリキュラム案の修正と再試行を重ねる計画である。
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