僻地教育でのボランティアを介した協同学習を支援するネットワークシステムの基礎研究として2年間の研究に取り組んだが、僻地校指定を受けている島根県、岩手県、鳥取県、青森県の4つの小学校に加えて、東京都の都心小規模校も含めた5校を中核に取り組んできた。 僻地の小学校間の協同的な学習を支援するネットワークシステムの研究目的は、協同学習を支援するためのWebなどの開発と人的な支援体制の運営方法の開発の二つにわけることができる。 本研究の研究実績の概要としては、まず、小規模校の教師がネットワークやそれを運営していく情報ボランティアにどのような意識を持っているのかに関する調査を行った。この調査では、小規模校の情報教育担当者には、恒常的な人的資源の不足に悩んでいる構図が浮かんできた。また、ネットワークを活用した実践にも小規模校には有益な面が多いという意識を持っているものの、実際に自分が操作することに対しては、技術力に自信を持ち得ない実態が明らかになった。この情報機器の操作技術に対して不安を持っている教師に対しての本研究での支援の実際は、「佐伯、苅宿共著『インターネット教育をどう支援するのか』岩波書店2000」で詳述してある。 次に、僻地小学校間の協同的な学習を支援するためのWebなどの開発については、苅宿「情報ボランティア等による小規模校への学習支援」日本教育工学会研究報告集2000に詳述してある。児童の作品をWeb化し、その作品を中心に共感的理解者としての情報ボランティアとメールを中心にしたシステムを構築する事ができた。児童の作品作りには再構成型ソフトウェア「脳の鏡」を活用し、プロセスの作品化として制作履歴を情報ボランティアと共有していった。
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