研究概要 |
本年度はCAIシステムの開発とデータ分析に関して,次の2つの論文を発表した。 (1)これまでに開発したWWW環境において利用されるCAIシステムでは,国内のみならず,海外からもアクセスされるため,クライアント-サーバ間における文字コードが問題となり,学習者に対応した文字コードでのS-P表が提示できなかった。本年度はこの問題点を解決するため,学習者のデータをサーバに転送する時,利用したクライアントのコースウエアによって文字識別コードを付加し,サーバで文字識別コードを判断し,学習者の文字コードに対応させたS-P表や成績を提示した。この結果,本CAIシステムは海外からアクセスされても1つのサーバプログラムで文字コードが判別できることを確認した。この成果は国際会議(ICCE/ICCAI2000)において発表した。 (2)良いコースウエアを作成するためには,問題項目と学習時間とがどのような関係にあるのかを明らかにする必要がある。本年度は,学習者が問題項目を完全に理解するまで繰返し同じ問題項目を回答する方式のコースウエアを対象に,1人の学習者がいくつかの問題項目を回答した場合の学習時間分布について,学習時間を確率変数とした累積分布関数で示し,この関数がベータ分布で表されることを検討した。次に,学習者集団がいくつかの問題項目を回答した場合について,問題項目と学習者の学習時間に関する適当なパラメータ,平均,分散を用いれば,学習時間分布はベータ2項分布の確率密度関数で推定できることを明らかにした。また,ベータ2項分布の累積分布関数によって求めた推測値はS-P表上の実測値とよく一致していることを確認した。この成果は電子情報通信学会論文誌において発表した。
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