今年度は、以下に示す内容について検討した。 1.発話訓練ソフトウェアの3D化 Open GLライブラリによる3D-コンピュータグラフィックス(CG)を用いて、視覚的に楽しみながら発話訓練できるソフトウェアを開発した。描画時間の短縮と画面のちらつき防止のためにデプスバッファ法とダブルバッファ法を採用している。子供達が積極的に訓練を行うようにゲーム性と知的教育要素も組み込んである。タイトルとしては、クレー射撃・隕石回避等のシューティングゲームや花火をイメージしたファンタジックゲーム等がある。 2.ハイブリッド型子音認識エンジンの構築 従来、音声の高精度照合法として知られているDPマッチング法や隠れマルコフモデル法及び時間遅れ型ニューラルネットワーク(Time Delay Neural Networks)法による認識結果を見ると誤り個所の特性はそれぞれ異なることが判明した。そこで、これら3つの照合方法をハイブリッド化することにより子音認識率を向上させることができた。 3.サウンド制御機能の改善 Windowsパソコンに搭載されているサウンドカードでは、通常、録音キューにデータが蓄えられて一杯になった後に新しいキューが準備される。そのため、録音キューの切れ目でわずかながら(1〜2サンプル程度)データが欠落する場合がある。そこで、常時有効なキューを持つことで、切れ目のない入力を実現できた。 4.インターネット通信教育システムの構築 下記機能を組み込んだシステムを構築した。 (1)訓練結果を記録するデータ管理機能 (2)蓄積された訓練結果がインターネットを介してサーバに蓄積される通信機能 (3)サーバに蓄積された訓練結果に基づいて訓練のアドバイスを行うレポート機能 5.ソフトウェアのCD-ROMによる配布 本ソフトウェアセットは、CD-ROMにて無償配布しており、愛知県下の聾学校を始めとする約50の関係機関で既に使用されている。特に千種聾学校と岡崎聾学校では積極的に協力していただいた。
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