本研究は、大きく次の2つの計画に基づき、同時進行で進めた。 (1)福祉英語に必要な表現・語彙などを決定する。 (2)Multimedia手法を利用して、福祉英語学習カリキュラムを実際に製作する。 (1)について:学習者が、福祉英語に必要な表現・語彙を調べる場合に利用できる辞書類を調べたところ、『社会福祉英和・和英用語辞典』(誠信書房)が唯一のものであること、更にその辞書は、英単語の日本語訳、日本語の英語訳が提示されているにすぎず、英語表現を調べるには不十分であることがわかった。実際に言葉を運用する場合には、単語の置き換えにとどまらず、日本語と英語の認知的な違いが反映される語と語の共起関係が特に必要であるので、そのような情報を提供できる辞書の作成にあたることにした。今年度はそのためのデーターを社会福祉関係文献や福祉関係のインターネット上のホームページからコンピュータに入力し、分析を進めているところである。現在は、まだ、その結果をまとめるに至っていない。 (2)について:社会福祉の専門教員との話し合いから、社会福祉には、老人福祉、児童福祉、障害者福祉等様々な分野が含まれ、学生たちの興味も異なっており、福祉英語学習カリキュラムの内容を設定する場合に、それぞれの分野を考慮しなければならないことを認識した。本年度は、全般的な内容のものとして、インターネット上にパブリッシュされている厚生白書英語版を選び、英語学習のためにその一部を使用する許可を厚生省から得て、reading・内容理解のためのtrue&false問題・語彙習得のためのblank filling exercise・文章表現のためのquestion&answer設問からなる基本的なフォーマットを決め、実際にマルチメディアテキストを作成した。来年度は、このフォーマットに基づいて、他の分野のテキストを作成する予定である。
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