学校不適応の子どもの増加に伴い、保健室の役割がクローズアップされ、養護教諭の役割が重要になってきたが、養護教諭は通常各学校に一人しか配置されていないため、養護教諭同士の連携の場は限られている。こうした現状をふまえ、本研究では、ネットワークを介して、養護教諭が連携でき、また自己をリフレッシュできる場を提供するシステムを開発しようとした。平成11年度は高校生が養護教諭に求めている情報通信倫理を調査し、身近なデータの管理の重要性を実証した上でシステムを試作した。試作システムはこれまで紙で作成されていた「自己理解調査票」をネットワーク上で使えるようにし、Eメールによりスーパーバイザーに意見を聞くことができるようにしたものであった。試用の結果に基づき、12年度は、画像ファイルのやりとりを行う実験とともに、養護教諭相互のEメール交換も行えるシステムに改良した。また、養護教諭の考える守秘事項が児童生徒の考える守秘事項と乖離がないかどうかを調査によって検討した。そして、最終年度である13年度は、自己理解システムをより使いやすくするため、自動採点を行ってチャート表不できるよう改良を行った。試用の結果は、これまでの紙の「自己理解調査票」に比べて、(1)採点が自動化されているのがよい、(2)結果のチャートが見やすい、(3)過去の結果と比較できる点がよいなど肯定的な意見が多かった。さらに、必要な情報が折々に自動配信されるシステムを望んでいる養護教諭が多いことがわかった。これまで、システムは養護教諭の横のつながりを促進する目的を重視していたが、総合的な情報の発着信のシステムとして構築できれば、なお効果が期待できよう。ただ、ニュースの自動配信ということになると、どのような範囲に配信するかの決定、すなわち養護教諭のカテゴライズも必要となる。これらを考慮して、今後、統合的なシステムの開発を目指していきたい。
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