研究概要 |
主体的行動能力及びその姿勢は、主体的行動の積み重ねによって形成されるという脳行動学を背景とした考えのもとに、基礎看護技術のカリキュラム(週2コマ半年間)について、知識,技術をすべて自分で主体的に学びとるという形の探究方式の学習として編成し、福島県立医科大学看護学部大下静香教授、東京女子医科大学看護短期大学大森武子教授の協力のもとに実施(於、福島県立医科大学)、今年度はその3年目。 学習は、原則と3〜5人の小グループで進め、体位変換,清拭等の要素について学習者全員が、看護、患者,観察者の3つの立場を体験し、それぞれの視点から行動成立のための条件を探究し、その結果を総合して行動を組立てるというものである。今年度は、各単元の導入部分を手直しし、学習のスムーズな進行を図った。 学習状況、成果については、特に学習指導との関連に焦点をあてて観察した。この学習になじまない学習者の多くは、探究時及レポート提出後に適切な指導,援助を受けていないことが明らかになった。学習指導者(講師,助手)の根強い教える姿勢や初中等教育で身についてしまった答を求める姿勢が防げとなり、主体的行動学習が成立しなかった。主体的行動能力は、主体的行動の積み重ねによって育つという仮説は、3年間の実践で実証されたが、それを真に学内に位置づけ発展させていくためには、指導者の「育てる能力」、特に学習者が何を感じ何を問題にしているのかを読み取る能力、学習者自身に発見させるための行動の場をつくる能力の育成の必要性を強く認識した。(詳細報告、現在執筆中。) 技術の背景となる理論分野の学習に対する本方式の試みとしては、今年度は解剖生理学の導入部分の学習設計と教材開発に取り組んだ。又、看護技術に不可決なコミュニケーション技術についても学習設計を行った。
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