本研究は3年間継続研究を予定しており、今年度はその2年次としての研究を次のように行った。 1 1945年から1960年代の算数・数学と理科教育における問題解決学習、生活単元学習の実践記録を、聞き取りならびに図書資料により収集し、その分析を行った。 2 資料収集は、現筑波大学学校教育学部附属小学校、奈良女子大学附属小学校、広島大学学校教育学部附属小学校を主な対象として行い、当時、理科ならびに算数教育における典型的な実践の記録を収集した。 3 分析では、a)「教育と生活」「科学と生活」の関係のあり方を整理する中で、戦後の問題解決学習ならびに生活単元学習では、児童生徒の生活世界に即した指導形態が追求されていたが、教育内容と教材との混同があったこと、b)我が国においては、問題解決学習ならびに生活単元学習が社会科教育を中心に展開してはいたが、理科教育でも、系統性と子どもの認識の両視点から教材編成が吟味され、算数・数学教育では基礎学力との関わりで議論されていたこと、c)そこでは「生活」概念をはじめ、「教育内容と教材の区別と関連」「順次性と系統性の区別」等の重要な議論がなされていたこと、d)戦前おこなわれていた理科と算数・数学での「統合」と戦後のそれとの間での差異と類似性の考察、から行った。 4 また、我が国の理科や算数・数学の教育内容に大きな影響を与えた米国教科書内容と我が国の該当教科書との比較検討を、米国教科書との比較検討を行った。とりわけ1940年代後半の我が国の教科書編集スタイルならびに記述においては、類似性があることが分かった。
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