平成12年度の研究は本研究3カ年計画のうちの2年目の研究である。今年度は当初の計画通り、4月〜6月にかけて日本(東京都の中学校3校男子210人、女子181人、計391人)と台湾(台北市の中学校2校、男子170人、女子160人、不明7人、計337人)の中学1・2年生を対象に、家庭科(健康教育科)及び家庭生活に対する調査を実施した。また、計画にはなかったが、9月〜12月にかけてアメリカウイスコンシン州オークレア市(2校197人)及び福島市(2校168人)の中学生を対象に同様の調査を実施することができた。本調査の目的は、日本の家庭科の具体的な問題点を台湾及びアメリカの健康教育と比較検討することであり、それぞれの国の中学生の教科観及び家庭生活実態について調査を行った。本報告では、分析が終了している日本と台湾についての主な結果を述べる。 1.「家庭科」、「健康教育」に対する興味度は、「家庭科」は「どちらでもない」が52%で最も高く、「健康教育」は「はい」「いいえ」が各38%と意識が二分された。「家庭科」は中間的な回答の多いことが特徴であり、生徒の印象が希薄であることが示唆された。 2.生活に必要と思われる教科を上位5位まで記述させた結果、日本は国語・数学・英語・社会・体育の順で高く、台湾は英語・国語・電脳・数学・健康教育であった。台湾では健康教育が第5位に位置づけられたが、家庭科は5位内に入らなかった。 3.「家庭科」、「健康教育」の役立ち度意識は、7項目とも「家庭科」が低率であった。「家庭科」の特徴は、将来に役立つという意識が比較的高かったことである。 4.中学生の家事実践度において、日本は9項目中5項目で台湾に比べ有意に低い結果であった。また、日本の中学生は家事へのマイナスイメージが有意に高いことが捉えられた。 5.日本の中学生の健康意識は低いが、健康意識と家庭科意識間に関連性が認められた。
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