研究概要 |
本年度は、昨年度の米国、北欧の現地調査で収集した資料やデータをもとに、各国の教育改革の分析と検討を行い、その結果をまとめた。同時に、昨年度収集できなかった資料について再収集を行った。また、英国に関しては、現在進行中の教育改革とジェンダー、生活者育成に関わる教育について、現地での資料収集および聞き取り調査を行った。 研究はそれぞれテーマごとに分担して進め、打合せ会において研究成果の交換と協同の検討を行った。 研究代表者および分担者の研究内容は以下の通りである。 (1)北欧4ヶ国(スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー)の1990年代以降の教育改革と家庭科教育およびジェンダーや生活者育成に関わる教育について、資料の分析を進め、特に各国の教育課程基準におけるジェンダーに関わる教育理念について包括的に把握した。また北欧の家政学について一部執筆した。(荒井紀子) (2)英国の1990年代以降の教育改革、特に昨年改訂された新カリキュラムのPSHE,Citizen-ship educationを中心にジェンダー、生活者育成教育の視点から現地調査を実施した。期間は平成12年7月22日から8月10日まで、前半はイングランドの中等学校家庭科教師や家政学研究者への聞き取り調査、後半はロンドンを中心に資料収集を行った。(荒井紀子) (3)米国の1980年代以降の教育改革について先行研究をもとに検討し、改革の動向と性格について論文にまとめた。またこれらを踏まえて、昨年米国で現地調査したミドル・スクールの家庭科教育について分析、検討した。成果の一部は日本教育学会平成12年度例会(2000.11.25)で報告した。またアメリカのミドル・スクールで実践されていた授業を日本で実験授業として実施するための教材開発を試みた(佐藤園) (4)昨年調査を行った1990年代のオハイオ州における「性の公正」の教育的取り組みと生活者育成の教育について、実施状況と改革動向について1988年度と比較しながら検討し、論文にまとめた。背景として大きな影響力をもつアメリカ家庭科のナショナル・スタンダード(National Standards for Family and Consumer Sciences,1998)の検討を行い、日本家庭科教育学会平成12年度例会で報告した。(山田綾)
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