静岡県教育研究会の小学校家庭科研究部および中学校家庭科研究部の研究会誌を分析対象にした。1966(昭和41)年〜1999(平成11)年の33年間分を通読し、学習指導の結果を収集した。全体で304件の学習指導の結果を分析対象とした。1973年からは学習過程の枠組みの仮説をもとに研究がなされ4つの期間に分けられた。学習過程の枠組みの仮説の期別は、第I期 1973年〜1981年、第II期 1982年〜1986年、第III期 1990年〜1997年、第IV期 1998年〜である。仮説を持たない第1期以前として1967年〜1972年があった。この期別に学習過程の各段階ごとにどのような学習指導方法が採られていたかを見た。導入段階、展開段階、まとめ段階のいずれにおいても、学習指導方法の種類は期を追うごとに、増えていた。導入段階の方法としては試食試着から次の期にはディスカッションが加わり、続く期には調べる、テーマを決定する、ロールプレイングが加わっていった。第IV期になるとさらに、調べる方法を考えたり、ゲームや、人材活用がとられていた。展開段階では実験実習、が一貫してとられており、製作と並んで多かった。計画を立てたり、調査研究活動が、期を追うごとに増えていた。まとめの段階で期を追うごとに増えたのは、相互交流や発表会、家で実践するなどであった。導入段階から調べ学習を採用する点に、子どもの学習への興味関心を重視する学習観が見られた。学習形態を各学習段階ごとに見た場合には、導入やまとめの段階が全体学習が多くを占めるのはいずれの時期にも見られることではあったが時期を追うごとに展開やまとめの段階で、個別学習を行う場合が多くなっていた。学習内容を領域で見ると、近年、家族・家庭生活領域、保育領域など人との関係を扱う場合が増えていた。これらの内容と学習指導方法の多様性、学習形態の個別化が関係していると見ることが出来た。
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