本基盤研究(C)(2)「第2言語習得における学習開始年齢と長期的到達度に関する実証的研究」は、言語習得の臨界期について、第2言語の習得過程から考察をしようとするものである。平成11年度から4年間の交付を受けた研究であり、本年度はその2年目に当たる。昨年度は、補欠採用ということもあり、時間的に十分な研究が遂行されたとは言えなかった。今年度は実験問題の一部も完成し、実際に被験者を使って実験を行うことができた。実験内容は、数量詞連結構文の習得である。刺激文を73用意し、日本で日本語を学ぶ外国人学習者に各文の文法性を判断してもらった。また、統制群として、同一の問題を日本語母語話者20名にも実施した。その研究結果の一部は、静岡大学教育学部研究紀要に載せることができた。研究結果の一部として次のようなことが判明した。言語習得の臨界期と言われる思春期を過ぎてから第2言語として日本語を学習し始めた学習者でも、少なくとも数量詞連結構文の習得に関して、日本人と同様の言語知識を身に付けることができる。この点からも臨界期仮説について再考する必要が生じてくる。また、今後の研究成果報告として、3月24日に静岡大学で開かれる日本第二言語習得学会と、10月にハワイ大学で開がれるPacSLRFで成果を発表する予定である。研究発表と平行して、調査項目をさらに増やし、より一般化できる仮説を提示したいと考えている。
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