研究概要 |
構成主義の観点を環境学習教材の開発にとり入れる具体的な方策を探すため、構成主義を背景に作られたとされるニュージーランド(以下NZと示す)の初等中等カリキュラムの特徴を調べた。 資料として、NZの教育省(1993)によるScience in the New Zealand Curriculum(発行:Leaning Media Ltd,Wellington)、日本の文部省(1989)による小学校と中学校の学習指導要領(発行:大蔵省印刷局)等を用いた。まず、1)生物領域を中心に、「児童・生徒自身が行う活動教材」として挙げられているものを抜き出した。2)次に、それら活動教材のとり挙げられ方を両国間で比較することを通してNZのカリキュラムにおける構成主義的な特徴を探した。 その結果、次のことが判明した。1)日本と比べて、(1)活動のタイプが多様なこと(例えば、観察、実験、飼育・栽培のみならず、採集、推論、ゲームづくり、ディベート、施設訪問、インタビュー、…等がある);(2)活動のテーマに、身近な生活環境や今の社会問題に関するものが多いこと(例えば、クラスメイト間で身体上の特徴を比べる、野菜や果物がどういう生物のどういう部分かを調べる、エイズウィルスについて調べる、近くの行楽地で人々の行動が生物に与えている影響を調べる、臓器移植の価値についてディベートを行う、…等がある)。2)抜き出された活動教材は、(1)遊びの中で対象と関わる;(2)対象について調べる;(3)対象との望ましい関わり方を模索する、の3つにカテゴライズできること。3)2)については(2)だけでなく、日本には少ない(1)と(3)の活動も多いこと。 これらの結果に基づき、「環境学習教材開発の際に、構成主義的な観点から配慮すべきこと」について考察した。考察に基づき、本研究においては今後、「(1)遊びを重視する段階;(2)生活と自然の関係を調べる段階;(3)自然との望ましい関わり方を模索する段階」の三段階をカバーした環境学習の教材開発を試みることとした。
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