1.日常知や身近な体験を尊重する構成主義の観点を、環境学習にとり入れる方策を探すため、構成主義を背景に作られたとされるニュージーランド(以下NZと示す)の理科カリキュラムを、環境学習の観点からの分析した[資料としてNZの教育省(1993)によるScience in the New Zealand Curriculumと日本の文部省(1989)による小学校と中学校の学習指導要領を用いた]。その結果、日本では「自然はどうなっているかを調べる活動」(=環境学習の第1段階)がほとんどを占めるのに対し、NZの場合、第1段階の活動(いろいろな日にいろいろな場所で温度を測る、…等)に加えて、「自然と生活との関わりを調べる活動」(=環境学習の第2段階;食用植物について調べる、…等)や「合理的な生活や社会のあり方を探る活動」(=環境学習の第3段階;水質汚染を解決する方法を探る、等)も、豊富にかつ身近な素材についてとり挙げられていた。 2.この結果を踏まえ、環境学習教材の開発を、身近な素材を用いた次のテーマについて行った。第1段階に関わる教材…「川や池の水はどんな色に見えるか」「水田の土や草むらの土を水槽に入れて屋上に放置する」「ビーカーに入れた煮沸水を屋外に放置する」、第2段階に関わる教材…「大気中の浮遊粉塵の簡易測定」、第2・3段階に関わる教材…「河原の石で火を起こす」、第3段階に関わる教材…「身近な野草から貯蔵でんぷんを探す」「いろいろな'わら'を使った納豆づくり」「資源としてのドングリ」「自然物から油を取り出してせっけんを作る」「身近な土を使って野焼きにより土器を作る」「身近な土から砂鉄をとって鉄をつくる」
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