英語学力は安定的で、入門期学習に成功すれば、以後の学習は安定して効率よく進む。そこで本研究は、現在行われている英語入門期の指導を、実状を基に総括的に再検討し、現行での問題を克服を目指した、効率的で画期的なカリキュラムや指導法を構築し実践することである。 本年度は、まず問題の所在を明確にするために、現行の入門期英語指導の実態を把握することから始めた。アンケート調査と授業観察により、現在の授業の問題点を解明した。 アンケート調査は教師を対象とするもので、英語教育課程の概要(生徒数・時間数・教材など)、年間英語教育課程(立案者・進度など)、授業過程(1時間の進め方など)、授業の進め方に対する意識の4点を調査した。北海道から沖縄県まで県単位の学校数を基準に無作為抽出で637中学校に依頼した。回答が得られた289校を分析対象とした。 その結果、英語教育課程はほぼ全国一律で、1クラス約40人の生徒を1学年1人〜2人の教師で週4時間授業し、また教科書の進度は、1レッスンを6〜7時間で消化していることが明らかになった。授業過程に関しては、多少の差はあるが、復習、導入、展開、練習といった標準的な展開がなされているようである。それは、北海道、中部、中国など4地域での実際の授業をビデオ撮影して分析した結果とも一致している。ただ、来年度に行う新しい授業の進め方に関する意識をたずねた結果は、抵抗がある教師が多いようであった。 現在、それらの結果、ならびに連合王国とアメリカ合衆国で得てきた英語教育カリキュラムに関する知見を基に、効率的なカリキュラムを詳細に策定し、4月からの実施に備える用意をしているところである。
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