研究課題
日本、中国、韓国、トルコ、イギリス、ドイツ、アメリカにおける社会科関連科目のカリキュラムとカリキュラム論に関する資料を収集するとともに、それらの検討を通して、次のような知見を得ることができた。(1) 各国とも、社会認識教育、公民的資質教育における一貫性の確保については、各学校段階内では果たしているが、少・中・高の段階間については苦心している。一般に総合課程から分化課程へと展開する編成が採れている。こうした編成の背後には、分化をより下学年から開始するほど一貫性は確保されやすいが、認識・資質の総合性・実践制が低下する問題があり、より高学年まで総合課程編成を取る場合も一貫性は確保されやすいが、認識・資質の科学性、緻密性が低下するという考えがみられる。そこで、少は総合、中・高は分化といる編成をとりながら、編成の基礎となる事実的概念、技能、ときには、価値的規範的概念や認識対象の時間的空間的枠組みの、学年を追った発達的系統を明示することによって一貫性を確保しようとしている。(2) 教育において事実認識と価値認識、科学と思想の統一をどう計っていくかに原理的な問題があり、この視点からの分析は今後の課題である。(3) 各国とも、政府か政府が指名した、あるいは、民間の全国的団体がカリキュラムを、あるいは、その基盤となる概念、技能のフレーム・ワークを提示する方式をとっているが、その内容と理念との関わりの分析も今後の課題である。(4) 各国とも、教育内容の選択・組織にあたり、ナショナリズムを強化しながらグローバルリズムをどう取りいれていくかに改善・研究の課題を見いだしている。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)