研究課題
日本、中国、韓国、トルコ、イギリス、ドイツ、アメリカにおける小学校、中学校、高校の社会科関連科目のカリキュラムとカリキュラム開発論に関する資料を収集するとともに、それらの検討を通して、次のような知見を得ることができた。1、各国とも、社会科関連科目カリキュラムの小・中・高の一貫性の確保に配慮しているが、教育内容編成の違いによって、一貫性の捉え方も異なっている。イギリス、ドイツなど、伝統的に地理、歴史、公民の分化的・並列的編成をとる場合は、各科目内での一貫性が志向され、取り扱われる事象自体の空間的・時間的・領域的な発展に連続性、発展性を見いだすことができる。他方、アメリカのように地理、歴史、公民を統合した総合的・順次的編成をとる場合は、社会事象をとらえる見方考え方、すなわち、科学的な概念や法則の学年を追った発展に、一貫性を見いだすことができる。これら両者の間にあって、日本や韓国のように、総合・順次課程から分化・並列課程へと発展する編成をとる場合、両課程の編成の基盤となっている社会事象に対する望ましい態度の段階的発展に一貫性がみいだされる。2、カリキュラムの一貫性の問題は、基本的には社会認識教育論、公民教育論に帰着する。各国のカリキュラムに内在する教育理論に踏み込んでの一貫性の考察を進めているが、全的解明は課題として残された。3、教育内容編成の自由な国における多様なカリキュラム、それらにみられる一貫性の実態の分析と理論化は、なお、課題である。
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