1 【教科書検閲の目的】教育(内容)の民主化のために(超国家主義、軍国主義、神道主義の排除)、そして占領政策の円滑実施のために(GHQ政策批判の阻止)、様々な分野(放送・演劇・新聞・雑誌・映画等)で検閲を実施した。教科書検閲もその一環であり、主として前者の目的のもとに実施された。検閲期間は、占領直後の国定教科書(暫定教科書も含む)から占領終結(昭和26年)の初期検定教科書に至るまで続けられた。検定を受けるため、その英訳3部を総司令部に提出することが義務づけられていた。 2 【教科書検閲の観点】[内容]と[表現]の両面から、次のような観点で検閲が実施されている。[内容]-民主的でないもの/他人の人格を蔑視したもの/児童生徒の進歩を妨げるもの/児童生徒の考え方を誤らせるもの/動物愛護の精神に反するもの/残酷なことを述べたもの/美を損なうもの/外国人を標榜したり誤解させたりする虞れのあるもの/保健上好ましくないもの/程度が高く理解させるに困難なもの/誤っているもの又は正確でないもの/不必要なものなど。[表現]-表現の不正確なもの又は適当でないもの、誇張したもの/挿絵の不正確なもの又は説明の文章と合致しないもの及び誤りやすいもの/取材が適当でなかったり誤解を起こすおそれがあるもの/説明が不十分(不正確・不完全)であったり、なかったりして理解しにくいもの/事実として認められていないものを事実らしく(認めたもの)書いたものなど。 3 【教科書検閲の特色】マスコミ検閲がGHQ・占領政策のチェック的性格が濃かったのに対して、教科書検閲は民主主義を育てていくリード的側面もあったものと考えられる。
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