研究概要 |
本研究は,3年計画で実施され,本年度は,2年目にあたる。 本年度の研究目的は,障害の重い成人知的障害者,自閉症者及び自閉症幼児に対し,「動作法」をどのように適用すれば効果的であるかを,事例研究を中心に検討することである。 本年度は,以下の成果を得た。 (1)平成12年度は,成人知的障害者と自閉症者4名及び就学前の自閉症幼児2名,計6名について,平成12年2月〜11月の長期間,週1回の「動作法」による指導を実施した。知的障害者,自閉症児(者)への長期間の指導を実施し,「動作法」によってどのような動作改善がなされるかを課題としたため,あえて学齢の児童・生徒を対象としなかった。成人自閉症者及び自閉症幼児,計4名の指導で特に共通して見られた動作特徴は,「状況に応じて腕に力を入れ,その力を保持する」ことの不得手さである。例えば,腕立て伏せ,腕相撲等は,あるルールに応じて腕に力を入れ,一定時間保持することであり,これは,彼らの握力を計測しようと試みる際にも同様である。「動作法」によって,まず,身体各部位のリラクセイションを進め,その後タテ系訓練によって身体に適切に力を入れるという操作を行えるような訓練プログラムを組んだところ,4名とも,腕に力を入れる操作を獲得し,特に,自閉症幼児の場合に顕著であった。こうした指導が,自閉症児の「自立活動」の指導に貢献できるとの確信を得た。 (2)九州大学大学院人間環境学府附属発達臨床心理センター及び国立特殊教育総合研究所に出向き,本研究の理論的枠組み及び事例を検討し,助言を得た。
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