研究概要 |
本研究は,3年計画で突施され,本年度は,最終年度にあたる。 本年度の研究目的は,障害の重い知的障害幼児及び自閉症幼児に対し「動作法」を実施し,同時に,他の心理課題を行い,「動作法」による動作変容と心理行動の発達・変容がどのような関連性をもつか,に焦点をあてて,事例研究を実施した。また,最終年度であるため,3年間で得られた研究成果を報告することも行った。本年度の研究成果は,以下の通りである。 (1)平成13年度は,就学前(4〜5歳)の知的障害幼児2名及び自閉症幼児2名,計4名について,平成13年2月〜11月の長期間,週1回の「動作法」による指導を実施した。4名とも,動作法の実施と同時に,心理課題を行った。2名の知的障害幼児には,訓練者とのごっこ遊びを行い,2名の自閉症幼児には,動作模倣課題を行った。「動作法」による動作課題は,知的障害幼児では,膝立ち位,立位での左右への体重移動,自閉症幼児では,リラクセイション課題(躯幹反らせ),「ギッコン・バッタン」(対面座位で手をつなぎ,交互に引き合う)であった。4名の幼児とも動作改善がみられ,同時に,訓練者とのごっこ遊び,動作模倣課題の発達・変容もみられ,動作改善と心理課題の発達・変容の間の関連性が明確となった。これは,訓練者の指示に従い,「身体に力を入れる・力を抜く」というコントロールの向上が,心理課題に効果をもたらすことを表し,「自立活動」の指導に貢献できることが分かった。 (2)3年間の研究成果報告書として,本年度の4事例を中心に掲載した。 (3)九州大学大学院人間環境学府附属発達臨床心理センター,独立行政法人国立特殊教育総合研究所,愛知教育大学に出向き,本研究の理論的枠組み及び事例を検討し,助言を得た。
|