国際機関やNGOの活動などの国際的動向を受けて、我が国では「男女共同参画社会基本法」が成立(1999年)し、21世紀の社会変革の道筋が明示された。この法律の制定により、国(政府)の取り組みだけでなく、男女共同参画社会づくりの地方公共団体の責務を明確化し、あらゆる社会集団で個人の尊重と法の下の平等が具体的な施策に移されようとしている。 このような社会変革は、当然、社会との連携を重視する学校教育にも影響を及ぼし、「生きる力」の育成を標榜する「総合的な学習の時間」で横断的・総合的課題として、男女の生き方や在り方を取り上げようとしている。従来の教科中心の知育から、人間形成としての社会的自己実現を目指す「生き方」教育として総合的学習での課題探求が期待されている。 本年度は、以上のような問題意識から男女共同参画社会の形成者を育てるカリキュラム開発に取り組むために、国や地方での取り組みを調査しどのようなねらいでどのような施策が実行されているか、その課題は何かなどを明らかにすることにした。具体的には、大阪府、愛知県、滋賀県、徳島県、名古屋市、徳島市、国立市、岡崎市などの取り組みを調査し、直接担当している係から、課題の聞き取りを行った。その成果の一部を示すと次のようになる。 (1)都道府県のレベルでは、具体的なプランを作成し啓蒙活動を推進している (2)行政のプランへの参加者が偏っていて、学校教育との連携は今後の課題となっている。 また、学校のカリキュラム開発の参考として、滋賀県の小・中・高の男女共同参画社会づくりの副読本や国立市の男女平等教育指導手引きを収集・分析した。椙山女学園大学附属中・高校が先進的なカリキュラムを開発しすでに男女平等教育を推進していることがわかった。 次年度はこれらの基礎資料を生かし、具体的な教科間カリキュラム開発に着手したい。
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