男女共同参画社会の創造は、21世紀の我が国の最重要課題の一つとして位置づけられ「男女共同参画社会基本法」が成立した。基本法の成立により、国と地方公共団体に対して男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的に行う責務が課せられ、国民に対しては、職域、学校、地域、家庭その他のあらゆる分野において、基本理念にのっとり男女共同参画社会の形成に寄与する責務が与えられた。 このような課題に対して、学校教育がどのように貢献できるか、教科間総合カリキュラムの開発により、形成者育成の方途を探究した。男女共同参画社会の形成は、一人一人の市民・国民の意識の変革にかかっている。従来の性別に捉われた固定的な役割分担から社会構造を考えるのではなく、男女が対等で平等な存在としてそれぞれ個性と能力を発揮し互いに支え合うパートナーとして、社会参加・社会参画し社会を創造していかなければならない。そのために、個人としての「自立」がキーワードとなる。男性の生活者としての「自立」、女性の経済的な「自立」を支援する社会システムの構築が課題となっている。 そこで、この「自立」と「共生」と「参画」を基本概念として、小中高一貫の視点から社会科・公民科を核として他教科との連携、道徳、特別活動、「総合的な学習の時間」を含めての教科間総合カリキュラムの開発により、形成者の資質・能力を育成できるようにカリキュラムを試案の形で提示した。男女平等教育、男女共生教育、男女共同参画教育など、児童生徒の発達段階に応じた学習課題を設定し、発信型の学習活動により、未来社会の形成者を育てるプランを提示した。 今後は、具体的な実践レベルで検証することと、個人研究から共同研究に発展させ各教科の知見を取り入れた総合的なカリキュラムを作成することが、緊要の課題だといえる。
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