第1に、消費者教育と環境教育を連接したテーマについて、先行研究のフォローを行った結果、次の点が明らかになった。(1)日本においては1990年代以降、消費者教育の側からも環境教育の側からも、両者の連接の必要性が認識され始めている。それに伴い、両者の視点の重要性を主張する論文数が増加している。(2)現在採用されている小・中・高等学校における家庭科の教科書の内容では、消費者教育のみの視点から環境教育の視点を強化する傾向がみられる。(3)環境教育の分野においては、消費の絶対量の削減という価値観が明確であるのに対し、消費者教育の分野においては、議論の余地が未だ残っている。(4)「消費」の問題にアプローチした教材については、消費者教育の分野よりも環境教育の分野の方に見ることができる。 第2に、消費生活実態調査、家計調査などの政府統計によって、戦前・戦後の生活様式の変遷を調べた結果、とりわけ食費における次の点が明らかになった。(1)内食の減少に伴い、中食・外食が増加している。(2)穀類(主食)に対する米の割合が減少している。(3)(1)は廃棄物の増加すなわち「ゴミ」の問題に、(2)は「食と農」(生態系と消費)の問題に通底しているものということができる。 第3に、海外の研究者との情報交換により、カナダのMcGregorが、消費倫理を含めたグローバル消費者教育の概念を提示していること、オーストラリアのFienが、「消費」の問題も取り上げ、具体的教材も示した環境教育カリキュラムを作成していること等が明らかになった。
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