児童・生徒のコミュニケーションに関する意識とその問題点を明らかにするために、小学生・中学生・高生を対象とするアンケートを実施した。そして回収した5566件のデータをデータベース化して質問間のクロス集計などにより分析・検討した。分析・検討の観点は次の通りである。 (1)話すことに関する自己意識 -話すことをどう思っているか- (2)話す相手に関する意識 -話すことをどう思っているか- (3)相互理解に関する意識 -わかりあえる人はいるか- (4)教師の指名に関する意識 -指名されてどう思ったか- (5)授業中の発言に関する意識 -発言することについてどう思うか- (6)表現能力に関する自己意識 -具体的にどんなことができるか- (7)コミュニケーションの手段 -何を使ってコミュニケーションをとっているか- (8)抵抗感のある内容に関する伝達意識 -親しい友達に注意をすることができるか- (9)抵抗感のある内容に関する受容意識 -友達の意見を受け止めることができるか- (10)コミュニケーション不成立に関する意識 -「わかってもらえない」ということをどう意識しているか- (11)相談への応対に関する意識 -友達の相談にうまく応じることができると思っているか- (12)コミュニケーションのあり方に関する意識 -どのように話したり聞いたりしたいか- これらの分析により、児童・生徒のコミュニケーションは人間関係に強く影響していることが判明した。児童・生徒の多くは自らのコミュニケーションについて肯定的な意識を持っていた。その反面否定的な意識を持つ児童・生徒は人間関係について否定的な意識を持っていることも判明した。これらにより、他者と言語による通じ合いの学習によりコミュニケーション意識が向上すると考えられ、今後のコミュニケーションを生かした学習の問題点が明らかになった。
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