本研究は学校外教育としての、キャンプクラフトにおける子供の創造能力育成の為のプログラム開発と、その研究過程から派生する、玩具等の遊び媒体の開発を主な2つの研究目的としている。初年度は、前者に関してはプログラム開発に向けた理論化のための情報・資料収集、分析を主な研究実践とした。まず、学校教育が目指す方向としての文部省新指導要領と、学校外教育の動きとして、最近のワークショップの現状と、アメリカの「チルドレンズ・ミュージアム」の理念「ハンズ・オン」・「展示の実際」を分析した。また、新たな実践として、「山梨大学野外教育研究会主催のキャンプクラフト」と「第6回創作おもちゃフェスティバルにおける玩具づくりワークショップ」を行い、様々なデータを集積、分析した。これらの結果から次のような知見を得た。1.今後は「総合的な学習」等に展開可能な学校外教育としてのワークショップの在り方が、大きな意味を持つことが予想される。2.「チルドレンズ・ミュージアム」の展示の実際、ワークショップの展開の例は、今後の学校外のワークショップのあり方の大きなヒントになる。3.学校外の、ものづくりワークショップの在り方の理念は、時代・地域性等を越える普遍的な要素と、時代・地域を反映する文化・教育等にかかわる流動的要素との調和点を反映させるべきである。4.「創造性」をキーワードに、既成概念にとらわれない様々な創造的分野の分析が、学校外のワークショップのプログラム開発に繋がる可能性がある。次に、研究目的の後者である、玩具等の遊び媒体の開発については、コンピューターにより、筆者の既発表の玩具作品のデータ整理を行い、展覧会(「木のゆうえんちで遊ぼう!」、「第6回創作おもちゃフェスティバル」、「アジア民族造形学会中部支部会員展」)で新たな作品を発表した。なお、作品の一部は、ワークショップで実践したテーマを展開させたものである。
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