本研究は「キャンプクラフトにおける子供の創造能力育成の為のプログラム」と「遊び媒体の開発」という2つの研究目的を持ち、それぞれを相互に関係づけるスタンスで研究を進めた。なお、前者については、学校教育外の「遊び道具づくりワークショップ実践」も研究の範疇に含め、新指導要領、最近のワークショップの現状、アメリカのチルドレンズ・ミュージアムの理念・展示の実際、日本での児童館・個人主催の工作教室における、ものづくり教育の実態等を分析し、不特定多数の参加者で短時間で完結する、より良いワークショップのあり方を検討した。また、「イマジナリウム」の市販玩具実態、日本の市販玩具実態、プレーパークでの子供の実態等を分析し、子どもの玩具・遊びのあり方の検討を行った。3年間の研究期間に、ヒノキを主な材料として、キャンプクラフト・ワークショップのプログラムを8テーマ(ものを飛ばして遊ぶ「ネイチャー・フライング」・「フライング・マン」・「森でつくって飛ばそう2種類」・「森のロビンフッド」・「つくって飛ばそう」、水中をのぞく「ウォーターテレスコープ」、乗って走れる「ウッドスクーター」、虫を高速で走らせる「走る虫をつくろう」)開発し、14回の実践を行い、アンケート調査等を通して次の結果を得た。1、魅力的な製作テーマ設定が非常に重要である。2、製作テーマ設定によるワークショップにおいても創造的な展開は可能である。3、道具使用の基礎技術が経験できる指導時間の設定が必要である。4、製作テーマ設定によるワークショップにおいても参加者の自由な発想を展開できる部分が必要である。5、参加者同士の交流ができる設定が望ましい。研究目的の後者である、遊び媒体の開発については、ワークショップ実践と関連したものを含めて、自然の秩序を重視した、遊び道具・玩具を開発し、延べ15回の各種展覧会等で発表するとともに概要をCD-ROMにまとめた。
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