本研究の目的は、海外滞在による異文化接触が、学習者のl)外国語学習動機、2)コミュニケーションへの積極的な態度・不安・自信3)異文化への態度4)国際的志向性に変容をもたらすかどうか、そして、その変化と言語能力に関連が見られるかどうかを客観的、科学的な方法で調査することにある。平成11年度は質問紙の開発を行い、アメリカに1年間留学する予定で平成11年7月に出発した高校生60人を含む3種類の異なるグループに対し調査を実施した。平成12年には、アメリカに1年間留学する予定で平成12年7月に出発した高校生50人を対象に出発前と到着3週間後の2回調査を実施した。このデータは前年度分と合わせて解析した、出発前と比較し3週間後にコミュニケーション不安が統計的に有意に低下するなど興味深い結果を導いている。 平成13年は主にデータの解析と成果の発表を行った。過去2年間に収集したデータを用いて共分散構造分析を行った結果、異文化への態度や国際的志向性が、学習動機に影響し、それが英語力の向上につながると同時に、コミュニケーションに対する自信を高めていることが示された。この結果は、大学英語教育学会において発表した。また、成果を国際誌に投稿し、採択された。 平成11年と13年に、外国人教師と日常的に接触のある国際高校において質問紙と英語標準テスト(T0EFL)を実施したが、その結果の解析を現在進めている。英語教育の現場において入手したデータだけに、得られた知見を教育実践に還元しやすいものと期待できる。今回新たに入手したデータとこれまで長年蓄積したデータの統合を行うことにより、高校生の異文化接触の効果や社会文化的適応について多くの知見が得られた。
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