1.聴覚障害者の音楽演奏・評価環境の整備と基本データ収集(筑波技短大) 昨年度構築したパソコンベースのMIDI入力-マルチメディア出力表示システムを、聴覚障害者の音楽教育に応用し、学習課程を研究した.特に聴覚障害者同士でリズムを主としたアンサンブルを行うための訓練環境に、どのような視覚情報による演奏予測やフィードバックが適切かを知るための基本データを取得した。 単純なリズムを合奏することを想定し、手本の指示と応答との時間差を測定した。MIDIシステムを用い、手本リズムを視覚映像と音で提示し、それに合わせてMIDIドラムを叩くタイミングをデータとして取得した。被験者として聴力に差の有る障害者と、比較のため音楽経験に差の有る健聴者を採用した。 手本映像にカーソルで指示された予測情報を含む場合は、手本との偏差が小さく有効であった。また学習が進むにつれ、リズム構造を反映して、フレーズ内で演奏タイミングが周期的に手本からずれることが見出された。このようなリズム認識は聴覚障害者がリズムを学習する上で重要であり、周期的な繰り返し刺激では、予測情報を伴わない視覚情報やスピーカー音も同期信号として有効なことが分かった。 2.振動による音感認識装置の開発と評価(中央大) 昨年度に試作した、振動によるワイヤレス音感認識装置を、重度障害者のダンス訓練に応用する場合の基本特性を取得した.また音楽情報とくにリズムの伝達手段とする場合の周波数特性を解析し、ステップ練習に応用する場合の問題点を明らかにした。
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