本研究は、中学校技術科教育における全国の優良な実践事例を収集・整理・分析するとともに、生徒及び技術科担当教員の学習・指導に対する意識調査を通して、教育的効果が期待される実践事例や他教科との関連性を視野に入れた学習指導の実態、ならびに総合的な学習の時間への展開の可能性を明らかにする事を目的としている。 昨年度から引き続いて優良な実践事例を集めるとともに、インターネットを通して技術科教育の実践例も収集した。その結果、設計・材料と加工技術の単元における「ブリッジコンテスト」、銅鏡の制作、ロボット制作とロボットコンテスト、ならびに共同作業によるベンチづくりなど、限られた時間数を有効に利用した多くの優良実践事例が見られた。ここに挙げたものはほんの一例にすぎず、様々な工夫を凝らした多数の題材・教材が開発されていることが認められた。これらの実践事例は、単にものづくりにとどまらず、他教科との関連も深く、中学校及び高等学校における総合的な学習の時間における題材・教材として検討する価値があろう。 また、これらの事例分析とともに、優良な授業実践を行っている学校を選定し、技術科担当教員及び生徒の協力を得て、技術科授業の指導案、生徒の受け取り方からみた授業の評価、生徒の変容過程などの調査も行った。調査協力校は、平成11年度が静岡県の藤枝市立藤枝中学校、青島中学校、沼津市立沼津第三中学校、平成12年度が藤枝市立西益津中学校、浜松市立与進中学校、静岡大学教育学部付属島田中学校、群馬県の松井田町立西中学校である。調査対象が多く、また、各学校における教育課程編成上の理由のため今年度の調査が3学期におよび、全てを分析することはできなかった。しかし、昨年度の分析から、授業の進行にあわせてものづくりに興味関心を抱く生徒が増えるとともに、授業の組立の重要性が明らかになった。現在、今年度の調査結果も含めてさらに分析中である。
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