研究概要 |
本年度は次の3つの調査を行い,以下の結果を得た. 1.全国の高等学校保健体育科教諭に対する調査(平成11年8〜9月) 2.全国の小・中・高等学校の養護教諭に対する調査(平成11年8〜9月) 3.福岡県,東京都,千葉県の保育園児を持つ保護者に対する調査(平成12年1月) ○児童生徒の状況として,からだのしくみや疾病に関する学習内容がよく理解されていない,自分の健康は自分で守るという認識をあまり持っていない,健康を保持増進するための判断力があまりない,と考えている保体教諭や養護教諭が多い. ○学校におけるからだのしくみや疾病についての指導の状況として,保体教諭,養護教諭とも,指導は充分ではないと考えている者が多い.理由として教える側の知識の不足,指導時間の不足,実践力に結びつく内容ではないなどがあげられた. ○指導する側の状況として,保体教諭,養護教諭ともに,からだのしくみや疾病に関する指導が難しく感じると自信がややあるに二分されていた. ○育児を行う若い親の状況として,子どもの疾病に関する授業を受けた覚えがある者が4分の1,授業内容が理解できた者はそのうちの半分であった.また子どもの診療に際して医師の説明が理解できなかった経験のある者は3分の2であった. 以上のことから,現在学校で行われている子どものからだのしくみや疾病に関する学習の現状には,教育を受ける側,行う側の双方に大きな間題が存在していること,実際に子育てを行うようになって困難な場面に直面していることが明らかになった.健康教育の目標は個々が健康の保持増進に努めるための実践力を身に付けることであるため,今後のそのあり方について検討を行う必要性があることが確認された.現在,小・中・高校の理科,家庭科,保健体育の教科書内容の調査検討に着手している.また,子どものからだや疾病に関する知識をしっかり身に付けることにより育児不安の解消につながると考えられた.
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