次世代の子どもの健康を守るための健康教育が必要と考えられることより、子育てに必要な知識の定着度などについて保護者766名に対して調査を行った。 その結果、学校で病気についての授業を受けたと答えた者は184名(24.2%)で、この内よく理解できた者は10名(1.3%)、ほぼ理解できた者が81名(10.7%)の合計91名の12.0%のみであった。授業を受けていない者が393名(51.7%)、覚えていないが171名(22.5%)などであった。しかし、実際の子育てに際して新たに学習を必要とし、大いに行った者が262名(34.5%)、行ったが407名(53.6%)で、全体の88%が学校教育の知識だけでは子育てができずに新たに学習を行っていた。 また、子どもが病気に際して医師の病状説明について理解できない経験がたびたびあった者が68名(8.9%)、時にあった者が400名(52.6%)で全体の6割以上の保護者が子どもの病状説明が理解できなかった経験を持っていた。 医師に対する調査(N=840)でも保護者が病状説明を理解していないと感じる医師が636名の80%以上見られ、噛み砕いた説明や時間をかけて説明していた。 疾病や体の仕組みに関する学校での教育効果についての考え方は、余り効果があがっていないが423名(51.1%)、ほとんど効果があがっていないが152名(18.4%)で80%近くの医師が教育効果について疑問を持っていた。今後の健康教育の改善方法として、教育内容をより実際に役立つように変更が593名(71.6%)、医師などの専門家の授業への参加が433名(52.3%)、教育内容を増やすが66名(8.0%)などであった。 また、北九州市や神戸市で行った保護者(N=1251)への調査でも学校で病気に関する授業を受け理解できた者は148名の11.8%のみで同様の結果であった。 これらの調査結果より、現在の健康教育は十分に機能しておらず、特に子育てに際して不十分とされた。
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