次世代の子どもの健康を守るために、保護者や子ども自身への健康教育が必要と考えられることより、子育てに必要なの保健知識の定着度、学校での保健科教育の現状等についての調査を行った。 保護者の健康についての知識については保育園児を持つ保護者766名に対して調査を行った。 その結果、学校で病気についての授業を受けた経験のあるものは約25%で、その内その授業を理解できたものは約12%であった。しかし、実際の子育てをした際に学校教育の知識だけでは子育てができず、約88%の保護者が新たに学習を行っていた。さらに、約6割の保護者が病院で医師から説明される子どもの病状が理解できない経験を持ち、医師840名に行った調査でも保護者が病状説明を理解していないと感じる医師が80%いた。 また、現代の学校教育の中での児童・生徒の健康に関する知識について、中学生1年生609名に小学校での保健教育、高校1年生813名に中学校での保健教育、大学1年生383名に高校での保健教育についての調査を行った。 その結果、体の器官の名称とその機能を正確に理解しているものは少なく、疾患については病気の名前は知っていてもその症状を知らなかったり、応急手当の知識については外傷・火傷の手当は中学生、高校生、大学生ともに約9割の学生が理解していたが、心肺蘇生法についてその正しい手順を理解しているものは高校生で0.2%、大学生で0.5%であった。しかし、子どもたちの保健知識の情報源としては、多くのものが学校の保健の授業をあげていること、また学校での保健授業による知識はその後の定着度が高いことを考慮し、これらの結果を基に、今後の学校保健教育の中で、子どもたちが自分の健康に関する知識をより理解するために、何をどのように教えるべきか再検討する必要があると考える。
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