研究概要 |
従来行われてきた,日本語学習者音声の生成面の研究を方法論の観点から再考し,発話資料の収集方法と分析方法を批判的に検討しつつ,外国人日本語学習者の音声生成の実態の分析を進めた.本研究は,方言音声研究や社会言語学的音声研究で得られた,「発話のスタイルのレベルが音声生成の実態と関係する」という知見を出発点とし,種々の方法による資料収集と実験の可能性を考えた。 初年度においては以下のような実験、考察、学会・雑誌発表を行った。まず、長母音短縮現象の日本語母語話者における実態を調べるために日本人話者同士の自発的発話資料の分析、発話速度を制御した文読み上げの録音資料の分析、合成音声刺激による長母音短縮の知覚の実験を組み合わせて、語末位置において短縮が起こりやすいことを明らかにし、平成11年9月に日本音声学会において口頭発表をした。また、外国人学習者と日本人インタビュアーによる自発的発話録音資料の分析によって音節の軽重がピッチ実現に強く関与していることを明らかにし、音声研究第3巻第3号に発表した。この研究を発展させて今後、長母音の短縮についても実験、考察を行う方針である。
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