研究概要 |
1.研究概要 本研究は中間言語(第二言語としての日本語)の談話処理に関する研究である。物語文の談話構造(全体構造、局所構造)の発達過程を第一言語の発達過程と比較して考察した。特に言語知識と認知能力の発達の関係に着目し、第一言語と第二言語の談話処理の過程の相違点を明らかにした。 2.研究成果 本研究は文字のない絵本(Frog,Where Are you?;Mayer,1969)を見て同じ物語を語った、次の3種類の言語資料を分析して進めた。1)日本語学習者の中間言語(日本語)による発話資料、2)日本語学習者の母語(英語)による発話資料、3)日本人による日本語発話資料。第一言語発達の分野では、日本入の子供3歳から11歳までの発話資料について、物語文の談話生成能力の発達過程を認知と言語発達の観点から調査した。その結果、日本語を母語とする子供の発達過程において、英語を母語とする子供と類似した発達段階が認められることが明らかになった。また、第一言語と第二言語の談話処理過程を比較した結果、第一言語発達においては、ボトムアップ処理から、トップダウン処理で行われるが、第二言語発達では、その反対であることが分かった。これらの知見は、以下の3編の論文に収められている。 3.研究論文 (1)「Development of global structure in first-language narratives」 愛知教育大学研究報告・人文社会科学編第48号(1999.3) (2)「Narrative discourse processing in second-language Japanese」 愛知教育大学研究報告・人文社会科学編第49号(2000.3) (3)「Backtracking and reorganization in narrative」 愛知教育大学研究報告・人文社会科学編第50号(2001.3)
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