研究概要 |
専門日本語教育における学習者にとって,論文に代表される論述文の論理構造の理解は不可欠であり,その理解には接続語句・助詞相当句が指標として役立つと考えられる.本論文では,論述文の論理構造を支える接続語句・助詞相当句を抽出する研究の一環として,6ジャンル(物理学論文,工学論文,文学論文,経済学教科書,文学作品,新聞社説)計132編の文章における接続語句・助詞相当句62項目の出現率を調査し,以下の分析を行う. (3)6ジャンル計132編の資料を対象に単変量的解析を行った後,正準判別分析(多変量解析の一手法)を用いて分析を行う. (4)(1)の分析のうち,論文の3グループ(物理学,工学,文学)の全資料(総計62編)を対象に(1)と同様の分析を行う. 上記の結果より,文章の所属ジャンルが,14の語句項目によって,正判別率80%という高率で判別されるとともに,各ジャンルを分離する語句項目ならびに論述的形式を持つ文章に共通する語句項目が選択された. 以上,限定された資料内ではあるが,異なるジャンルの文章を判別するために,(i)接続語句,(ii)助詞相当句が有効な指標であることが明らかとなった.
|