研究概要 |
(1)幾何的強ミキシング過程の汎関数の漸近展開の理論の見直しを行い改良した。 (2)連続時間確率過程の統計モデル選択のための情報量基準を漸近展開の視点から導出しその漸近的性質を調べた.漸近展開の2次補正項として情報量基準をとらえたことと,セミマルチンゲールモデルに対して情報量基準が得られたのはおそらく初めてのことである.AIC,TIC,GICの確立過程への一般化を行った. (3)セキュリティがsmall diffusionで表現される場合、それから派生する一般的なデリバティブに対して価格付け(汎関数の期待値の計算)の問題で、期待値に含まれる未知パラメータに過去データに基づく推定量を代入したときにバイアスが生じることを示し,補正を提案した.これは一般化ウイナー汎関数に対する漸近展開の方法によって得られた. (4)アンダーライング・セキュリティが極限において部分的にランダムネスを残すモデルに対して汎関数の期待値の漸近展開公式を導出した。これはたとえばブラック=ショールズ・モデルの周りにモデルを摂動したような状況に用いることができる.解析的バリディティは証明しているが,数値実験も行い1次近似に対して漸近展開が有効であることも検証した. (5)平成11年5月にフライブルグ(ドイツ)において研究成果を発表した.また,11月にビーレフェルト(ドイツ)にて講演した.大阪大学等に出張し情報交換を行った.
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