研究課題/領域番号 |
11680331
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
安楽 和夫 西南学院大学, 文学部, 教授 (90184332)
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研究分担者 |
菊池 泰樹 長崎大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (10124140)
野間口 謙太郎 高知大学, 理学部, 教授 (60124806)
小島 平夫 西南学院大学, 商学部, 教授 (80170249)
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キーワード | 情報量規準 / 順序制約 / 変化点 / ブートストラップ法 / AIC / BIC / MDL / バイアス |
研究概要 |
いくつかの母集団が共通の分布構造を持ち、これらの分布の特定の母数の間に単調な増加傾向があるなどの順序情報が利用できるような場合に、このような順序情報を反映した情報量規準に関する理論的ならびに実証的研究が本研究の目的である. 母数に順序制約が課せられるような場合、赤池の情報量基準AICと同様に、Kullback-Leibler情報量に基づく期待対数尤度を順序制約下での最尤推定量を用いた対数尤度で推定するときに生ずるバイアスは母数に依存し、未知である。情報量規準を構成するために、この未知のバイアス項をブートストラップ法で推定するという方法が考えられるが、順序制約下では、ブートストラップ法で未知母数の値を推定しようとすると、真の値よりより極端な方向へ偏ることがモンテカルロ・シミュレーションなどで認められた。更に、このような偏りを生じることが、関数の凸性やMajorizationの概念などから理論的に証明できた。またバイアス項のブートストラップ推定値が偏ることの証明も同様に示される見通しを持てた。これらのことから、データの最大値や最小値などの極値の期待値を始め、多くの制約のある問題で、ブートストラップ法がバイアスを生じる理由が統一的に示されるものと考える。 共同研究者の小島は、本研究テーマと時系列データで平均や分散に生じた変化点探索の問題との接点を模索しつつ、家計所得と企業収益についてのデータの解析による実証研究を行った。変化点探索についての他の方法との比較研究を来年度の課題としたい。 共同研究者の野間口、菊池は、隠れマルコフモデルにおける潜在要因の個数やそのときの母数の推定などの問題において、モデルの妥当性を測るための情報量規準の妥当性などについて調べた。また、順序制約がある問題への応用について検討を行ってきた。これらについて得られた成果を最終年度である来年に向けて、まとめていきたい。
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