東京湾に於ける水質の長期変動の推定、熱帯降雨観測衛星搭載の降雨レーダにより計測されるレーダ反射量に基づく降雨量の推定、ダイオキシン類および浮遊粒子状物質の発生源寄与率の推定、東京圏に於ける気温上昇に対するヒートアイランド効果の影響評価等を題材に、ベイズ的方法に基づくデータ解析法を開発すると共に、その応用について研究した。 東京湾に関しては時空間季節変動調整法を更に発展させると共に、追加収集したデータを解析し、近年、東京湾の水質の改善が鈍化しているのを明らかにした。方法論およびデータ解析の結果については、各々、国際シンポジウム「The 3rd Intemational Symposium on Frontiers of Time Series Modeling」および国際会議「The 5th International Conference on the Environmental Management of Enclosed Coastal Seas」にて発表した。特に、国際会議では 「The Best Effort Award」を受賞した。 熱帯降雨観測衛星に関しては降雨量推定のキーとなる表面参照法について詳細に検討し、推定精度向上のため、ベイズ的方法の利用および次世代レーダ開発の必要性について提言した。 ダイオキシン類および浮遊粒子状物質に関しては発生源寄与率を推定するためのリセプターモデルについて検討し、新たな関数関係解析法を開発すると共に、収集したデータを解析した。その結果については「第10回環境化学討論会」および科研費研究集会「環境統計データ解析の研究」にて発表した。 ヒートアイランドに関してはベイズ的方法による予備解析の結果、過去に於いて気温上昇への影響が認められたが、最近の気温上昇は黒潮の北上が主因と判断された。この問題については更に詳細に検討する予定である。 その他に、疫学データの解析についても検討した。
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