東京湾内湾の水質の長期的な変動傾向の把握、ダイオキシン類や浮遊粒子状物質の発生源寄与率の推定等を題材に、ベイズの定理と尤度に基づくデータ解析法を開発すると共に、その応用について研究した。 東京湾内湾の水質に関しては、自然共生型流域圏・都市再生技術研究が科学技術基本計画の分野別推進戦略に組み入れられたのに対応して、現在までに収集した水質測定データの公表を目指し、その整理統合を図ると共に、水循環・物質循環の変動の把握を容易にするため、湾内の水質の時空間変化を可視化する方法について検討した。また、湾内における栄養塩類の分布と挙動について検討し、富栄養化現象の動向を明らかにした。更に、地球温暖化やヒートアイランド現象の東京湾への影響について検討し、湾内の水温が長期に亘り特異的な変動傾向を示しているのを明らかにした。これらの研究成果の一部を東京都環境科学研究所年報に掲載すると共に、ISMシンポジウム「環境科学と統計科学の新たな融合」および第5回日本水環境学会シンポジウムにて発表した。 ダイオキシン類や浮遊粒子状物質に関しては、発生源寄与率を推定するためのリセプターモデルについて検討し、比率に基づくモデルを開発すると共に、収集したデータを解析した。その結果については、第11回環境化学討論会、ISMシンポジウム「環境科学と統計科学の新たな融合」、第5回日本水環境学会シンポジウム、および統計数理研究所共同研究集会「環境統計データ解析の理論と実際」にて発表した。更に、Chemical Mass Balance法のソフトウェアを開発し、関係者に配布すると共に、未知の発生源を検知しその発生源組成を推定するための方法について検討を開始した。
|