研究概要 |
プログラムアニメーションシステム「プログラム紙芝居」について,平成12年度は以下の項目を行なった. 1.評価実験に基づく機能拡張 学生を対象とした評価実験により,受動的なアニメーションが入門段階での理解促進に効果が高いことが確かめられた.一方,中級段階の学生にとってはより能動的なインタラクションが必要であることがわかり,対象プログラムの逆実行再生を含むアニメーション制御機能の拡張を行なった. 2.プログラム理解への応用 制御機能の拡張によって,教育目的だけでなくプログラム理解への利用など応用分野を広げることができ,Cプログラムの理解のためのツールとして実現した.この研究では,紙芝居による逐次アニメーションに加えてプログラム実行系列に対するランダムアクセスの重要性がわかった. 3.並列プログラムへの応用 Javaプログラムを対象として,マルチスレッドプログラムの可視化の手段として複数の紙芝居の並列アニメーションをとりいれたシステムを構築した.その結果,粗粒度のマルチスレッドプログラムについて,同期に関連したバグの発見に効果があることがわかった. 4.国際会議での発表 2000年7月に計算機教育に関する国際会議でシステムに関して発表を行なった.インタラクションを重視するシステムが多い中で,入門者のための受動的アニメーションという観点が評価された. 5.システムの公開 2000年12月に,成果のシステムをウェブ上で公開した.その結果,約3カ月間に2300件のアクセスがあり,ソースプログラムのダウンロード数も300件にのぼった.また,そのウェブページが商業誌で紹介され,システムが付録のCDROMに収録されたので,さらに多くの人に利用されていると思われる.
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