研究概要 |
計算機のプログラムアニメーションに関して, 「プログラム作成者自身が自分のために利用する」という観点から,紙芝居インタフェースを利用した完全自動,受動的なソースコードアニメーションシステム「プログラム紙芝居」を作成・公開した. -操作性の向上 一時停止,巻き戻しなどをサポートするために,ビデオデッキ風の再生制御ボタンを導入した.これは十分なじみのあるインタラクション形態であり,本研究の重点である「受動性」を損なわない. -プログラム理解への応用 制御機能の拡張によって,教育目的だけでなくプログラム理解への利用など応用分野を広げることができ,Cプログラムの理解のためのツールとして実現した.この研究では,紙芝居による逐次アニメーションに加えてプログラム実行系列に対するランダムアクセスの重要性がわかった. -並列プログラムへの応用 Javaプログラムを対象として,マルチスレッドプログラムの可視化の手段として複数の紙芝居の並列アニメーションをとりいれたシステムを構築した.その結果,粗粒度のマルチスレッドプログラムについて,同期に関連したバグの発見に効果があることがわかった. -評価実験 学生を対象としてアンケートによる評価を実施した.その結果,特にプログラミング入門段階の学生に対する有効性を確かめられた.一方,ある程度進んだ利用者に対しては,現状のフレームワークとの整合性を保ちつつ高度なデバッグ機能を組み込む必要があることもはっきりした. -システムの公開 2000年12月に,成果のシステムをウェブ上で公開した.その結果,約3カ月間に2300件のアクセスがあり,システムのダウンロード数も300件にのぼった.また,そのウェブページが商業誌で紹介され,システムが付録のCDROMに収録された.
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