本研究はコンピュータグラフィックス(CG)技術を応用し、自然物をリアルに表示するものであり、次の研究項目を実施した。(1)自然物の光学特性のモデル化、(2)自然物の動作モデル、さらにより効果的なシステムとするため、(3)インタラクティブシステム、(4)アニメーションを利用した検証を行なった。 (1)の光学特性のモデル化に関しては、自然界の存在するものはミクロ的に見ると粒子状物体であるので、粒子状物体の光学的特性をモデル化した。ある程度の対象物に関してはモデル化の基礎は既にある程度判明していたが、本研究ではさらに充実し、それらを統合化しモジュール化をはかった。特に、砂漠の粒子や水の分子による散乱特性を考慮した可視化法を開発した。また、多重散乱の影響も考慮できる方法を試みた。(2)の動作モノデルに関しては、雲、煙を対象にそれらの成長過程を解析しモデル化した。こうしたものは非常に複雑であり、その振る舞いは従来のパラダイムでは困難である。雲に関してはセルオートマトンおよびセルダイナミックス法による動的変化の計算法を開発し、煙に関してはレイノルズ方程式を基本に障害物を考慮した可視化法を開発した。(3)に関しては、近年低廉化が進んだグラフィックスハードウエアを利用することにより高速化を図り、インタラクティブなシステムを実現した。特に多重散乱などの光学的効果を計算する際にもハードウエアを利用できる方法を提案した。(4)については、雲、煙、砂漠、海のダイナミックスを考慮したアニメーションを作成しそのリアルな映像で有効性を確認した。なお、これらの成果は、9件の論文として発表した。
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