本研究では、高精度・高圧縮率の動画像圧縮方法を開発した。MPEG-4など、既存の動画像圧縮法は、動き補償の計算を大きさが8x8画素などのマクロブック単位の簡易な方法で行っているため、精度・圧縮率が低かった。今後、インターネットの発展等による通信需要の拡大により、はるかに高精度・高圧縮率の手法が必須となってくる。本手法では、画素ごとの高精度な動き補償および大域的補間を可能にし、数十分の一に圧縮した。また、圧縮手法と全く同様の手法を用いて、物体のいくつかの方向からの画像から、任意の方向からの画像生成を行なうこともでき、仮想現実感へ応用できる。これは、MPEG-4のような、エントロピーによる圧縮手法では原理的に実現できない。本年度は以下のような機能を開発した。 ・動画像の、レイヤー構造を求め、どのレイヤーがどのレイヤーを遮蔽しているかを計算する手法 ・二つのフレームが与えられたとき、一方に写っていて、他方に写っていない領域を検出する方法 例えば、ビデオによく見られる、前景を物体が横切っていくような動画像は、MPEG-4のように動き補償画像の誤差を保存しておく事なく、前景画像と、物体の小さな画像の二つから、動画を復元できる。また、一方に写っていて、他方に写っていない領域は、わざわざ動き補償して、差分を保存しなくても、それらの領域を直接保存することにより、画像の精度と圧縮率を向上させる事ができる。これらの機能により、高精度で動き補償を計算し、圧縮率を上げても鮮明な画像を生成できるようになった。
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