研究概要 |
本年度は,WWWで要求分析者が適切な獲得・分析方法論を構築し,その方法論に従った支援ツールを生成するツールを開発した.このツールで生成される方法論と支援ツールは汎用的なものであり,領域固有のユースケースパターン(昨年度の研究成果)やシナリオパターンを蓄積,再利用することにより,要求獲得に大きな効果があると考え,分析者が支援ツールとともにWWWでこれらのパターンを組み合わせて使用する機構を開発した.具体的な研究成果を以下に示す. 1.要求分析方法論の構築支援ツールと要求分析支援ツールの生成:要求分析方法論を部品化しておき,それらをWWW上で取り出して,組み合わせることにより,開発プロジェクトの性質にマッチした新しい分析方法論を構築するツールの開発を行った.構築された方法論を支援するツールも同時に作成する機構を持つ.方法論に合わせて要求分析支援ツールは,要求獲得作業の支援はWWWのナビゲーションページが,プロダクトの入力編集支援は汎用ダイヤグラムエディタをカスタマイズした専用エディタが生成される. 2.パターンの組み合わせ支援:ユースケースパターン,アスペクトパターン,デザインパターンをオブジェクト指向モデルを組み合わせて使用する際の無矛盾性チェックが行えるように,プロセス代数を用いてモデル化した.さらに,パターン上での進化規則(要求仕様から設計仕様へ),統合規則を,書き換え規則としてモデル化する手法を開発した. 3.シナリオパターンのモデル化とシナリオ記述支援:要求獲得を行う為の領域固有のシナリオ部品を格文法を用いてテンプレート化し,これらのテンプレートとその組み合わせ規則を一体化してシナリオパターンとして蓄積した.実際に,レンタルビジネスドメインの要求獲得に使用し,70%以上が用意したパターンで構築できることを確認した.
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