研究概要 |
本研究では,与えられたボリュームデータを,連続等値面群を用いてフィールド方向に輪切りにし,その位相同値性を調べることによって,ボリュームのフィールドトポロジーを表現するハイパーレーブグラフを抽出し,それに基づいて,重要なフィールド分布の特徴を強調する伝達関数を半自動的に設計するユーザ支援環境の開発を主眼としてきた. 最終年度である本年度は以下に示す5点の実績を得た. 1.隣接等値面の位相に相関性が低い実計測ボリュームのフィールド位相を表現できるようにハイパーレーブグラフの定義を拡張し,位相解析処理系プログラムを改良した. 2.拡張されたハイパーレーブグラフを参照して,位相の相関性の低いフィールド区間の半透明度を下げるような伝達関数設計指針を提案し,対応する伝達関数ルックアップテーブルを出力する処理系を開発した. 3.上記項目1,2の処理系を利用して,米国保健局が提供する歯のCTボリュームの詳細解析を行い,その有効性を検証した. 4.開発した処理系を統合し,スプレッドシート型ユーザインタフェースをもつ伝達関数設計支援環境IVORYの基本設計を行い,事実上の標準可視化ソフトウェアであるAVS上で,試験的実装を行った. 5.項目1で指摘した相関性の解析感度を劇的に上げられる,3次元超曲面の位相解析法を着想し,ハイパーレーブグラフに代わり,ボリューム骨格木(Volume Skeleton Tree)を抽出し,それを参照しながら伝達関数を最適化する方式の基本的検討を行った.これに関しては引き続き研究を続行していく予定である.
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