研究概要 |
本研究はコンピュータによって表現,構成された仮想空間における仮想空間操作に関する基礎検討である.特に形状の創成・初期発想支援を目的としたマン・マシン・インタフェースの方式に関する研究が中心課題であり,以下に列挙する五のサブテーマに分割して行われた.(A)形状モデリングの基本算法に関する研究,(B)仮想彫刻による形状創成に関する研究,(C)仮想木版画による画像合成に関する研究,(D)仮想粘土細工による形状創成に関する研究,E)グラフィクス応用に関する研究,である.(A)では,形状創成のための基礎的研究として幾何モデリングの基礎算法について検討した.光束を用いた光線追跡法の高速算法,幾何モデル表現における冗長性削除問題,等である.(B),(D)では,デザイナの初期発想支援を目的として仮想彫刻と仮想粘土細工に関する研究を行った.(B)ではCSGによる形状表現形式を用い,彫刻素材と楕円体などによる仮想彫刻刀による差演算に基づいた仮想彫刻操作を実現した.(B)の直接的応用として仮想彫刻により作成された版木をベースとして(C)の摺り操作による仮想印刷の方式を検討し,仮想木版画として画像化した.(D)の仮想粘土細工では,体積保存性などの数理的基礎検討をも同時に行った.粘土,水,などはその変形過程において非常に強い事実上の体積保存性を有する.しかしながらこれまでの研究においてはその扱いが不十分であり,不自然な形状変形をもたらしていた.本研究では形状をベジェ関数などのパラメトリック関数による自由曲面で表現した上で,その体積計算などの解析的検討を行った.(E)では,(A)〜(D)の研究成果を踏まえたグラフィクス分野,あるいは他分野への応用について検討した.自然言語を用いたモデリングインタフェースの構想,次世代カーナビゲーションシステムにおけるグラフィクスとコンピュータビジョン技術を融合した表示技術の検討と,仮想空間とインターネットを用いた双方向相補型外国語学習システムに関する研究が主体である.
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