本研究の最終目的は、超高速ネットワーク中の計算資源(スーパーコンピュータからワークステーションまで)、データベース(各種の情報)、ソフトウェアなどを利用者が自由に組み合わせて容易に利用できる環境を実現することによって、これまでに解けなかったような大規模問題(計算量、情報の種類など)の解決を可能とするための基本ソフトウエア(並列分散化、プロセス移送、資源スケジューリングなど)を開発するとともに、結果を実用的なシステムとして公開することにある。システムはフリーウェア化して一般に公開することを目標としている。 分散環境でのプログラム並列実行のためには、(1)プログラムを並列実行可能な単位(スレッド)に分割する。(2)この際にスレッドがネットワーク内のどのプロセッサで実行されるのかを全く考慮することなくプログラムできる。ネットワーク透過的な環境が必須となる、(3)このように生成されたスレッドの実行のために適当なプロセッサを選択するスケジューリング機能が不可欠である、(4)スケジュールの結果により、実行開始前または実行中でも自由にスレッドを移送できる環境が必要である。(1)についてはこれまで研究を進めてきたので、本年度は(2)および(3)を中心に研究を進め、動的なスレッド移送システム(MOBA)を開発した。
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